コミュニティづくりを学ぼう!第8回イチロクカンファレンスを開催しました
Posted on 2018.5.18
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毎月16日(イチロクの日)、「まちにイノベーションを起こす!」ことをテーマに開催している、イチロクカンファレンス。

5月16日(水)に開催された第8回は、「コミュニティ」をテーマに熱いプレゼンが繰り広げられました。


大黒 康佑さん(ヨコスカダウンタウンクラブ 副理事)

ヨコスカダウンタウンクラブって?

トップバッターを務めたのは、ヨコスカダウンタウンクラブの副理事である大黒さん。

ヨコスカダウンタウンクラブは、横須賀中央駅周辺にある5つの商店街の若手による連合会です。商店街どうしの連携を深めたり、お互いのイベントなどを周知したりすることを目的に、2013年に設立されました。

同じ地域に位置する商店街でも、ほかの商店街のことは知らなかったり、わからなかったりすることも多いんだそう。そんな現状を打破し、お客さんにたくさんきてもらいたいという思いを持って活動しています。

現在は、「よこすかキッズフェスティバル」「ゆかたでスカブラ」「ヨコスカハロウィンフェスティバル」などのイベントを企画・運営。イベントに来て楽しんでもらうだけではなく、スタンプラリーの実施やマップの作成、金券の配布といった施策を通して、商店街内のお店にも立ち寄ってもらえる工夫をしています。

また、主催イベントやマラソンなどの行事と日程を合わせて、三浦半島の名店が集まる「街市」も開催。これまで、のべ100店舗近くが出店し、毎回盛り上がるイベントになっています。

「加盟してよかった」と思ってもらえる活動を

今後のヨコスカダウンタウンクラブの活動に関しては、商店街どうしのさらなる連携を図ること、イベントを継続していくこと、活動を知ってもらえるようプロモーションを強化していきたい、と大黒さん。アプリなどITを使ったプロモーションも、今後は検討したいそう。

商店街の方々に、「加盟してよかった」と思ってもらえる団体であり続けることが目標。そのためにも、引き続き活動を継続していきたいとのことでした。

また、出店者やイベントなどのボランティアなど、活動に協力してもらえる方を募集しているそうです。活動に関心のある方は、Facebookページをのぞいてみてくださいね。

ヨコスカダウンタウンクラブ【ydc】


永井 由美さん(株式会社LINK代表取締役)

「この街の子育て環境を変える!」

2番目に登壇した永井さんは、もともと秋田県出身のキャリアカウンセラー。営業職をしていたときに務めていた会社が、社員の学びを推奨する風土だったことから、働くメリットを知ってほしいとキャリアカウンセラーの資格を取って転職しました。

その後、キャリアカウンセラーの多くは臨床心理士の資格を持っていると知り、大学へ編入。出産を経ながら4年をかけて卒業し、今年の4月には自身で会社を設立しました。

永井さんをはじめとした株式会社LINKのメンバー5人は、みんな育児中の母親。スキルや経験を持っているのに、出産・育児で社会を離れ、復職もうまくいかずにいる母親が多いことを知り、そんな子育て環境を変えたいと立ち上がりました。

会社のメイン事業は、子ども向けイベントの企画・運営、キャリアカウンセリング、親子サロンの運営の3つ。この春には、天体観測に詳しい地域の方に依頼して、月のクレーターを観察するイベントを開催しました。子どもたちに非常に好評で、夏休みにも惑星を観察するイベントを開催する予定だそうです。

キャリアカウンセリングは、対象となるのは大人ではなく中学生。働く大人とつながることで、仕事の楽しさや大変さを直接知ってもらうことが目的です。

大学生や短大生などに講義を行うこともあった永井さんは、就職を目前にしたこのタイミングで働くことを知るのは、遅いのではないかと感じていたそう。そのため、進路を具体的に考え始める中学生で働くことに触れてもらい、その後の学びを進める上での意味づけにもできればと考えています。

開始13日で100万円を集めたクラウドファンディング

子ども向けイベント、キャリアカウンセリングと並ぶメイン事業に据えているのが、親子サロン。カフェのようなサロンスペース、キッズスペース、一時預かりのできる託児所、会議室を併設した、総合的な親子サロンのオープンに向けて準備が進んでいます。

このサロンのコンセプトは、「子供のそばで自分の時間」。子どもが寝るまで待って自分の活動をするのではなく、子どもがいても活動できる場所があれば、女性が活躍する機会も増えるのではないか、と永井さんは考えています。

そのサロン内につくる予定の子どもが遊ぶキッズスペースは、「ボーネルンド」に依頼することが決まっています。永井さんは、その資金をクラウドファンディングで集めることに挑戦。100万円という高額にも関わらず、13日でのスピード達成に至りました。

銀行などから融資を得るのではなく、クラウドファンディングという形をとったのは、多くの人に愛される施設を作りたかったから。最初は社員5名で始めたプロジェクトでしたが、クラウドファンディングを通して、約80名の支援者とつくりあげるプロジェクトになりました。

クラウドファンディングは、6月29日(金)午後11:00まで。まだ支援は可能ですので、ぜひチェックしてみてください。

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島田 大介さん(久里浜商店会協同組合青年部「team 黒船 KURIHAMA」)

「積極的な青年部活動の実現に向けて」

次に登壇したのは、久里浜商店会協同組合青年部「team 黒船 KURIHAMA」の島田さん。このチームは、久里浜商店街の若手メンバーで立ち上げたもので、結成8年目になります。

久里浜商店街の取り組みで画期的だったのが、大型店舗であるイオンと共同で活動を始めたこと。イオンにも久里浜商店街の会員になってもらい、商店街でもイオングループの電子マネーである「WAON」が使えるようになりました。

青年部では、このWAONによる決済機能を搭載した独自のポイントカード「くりはまドリームカード」を発行するほか、駐車場の運営、アーケードの整備、防犯カメラの設置、イベントの運営などを行っています。

住民も参加できる商店街へ

商店街の運営に関わる活動のほか、空き店舗を活用した地域コミュニティの拠点施設「やすらぎ」を開設。棚をレンタルして作品の展示・販売ができるようになっており、出店者が交代で販売スタッフをしています。2階部分はセミナーなどができるスペースになっており、関東学院大学の協力を得て、英会話教室なども行いました。

活動の幅は徐々に広がり、商店街の枠を超えたことも行うようになりました。久里浜で行われる祭りやゴミ袋配布の手伝い、移動販売も行っています。現在は久里浜台の一部になりますが、時間や費用なども検討しながら、可能な範囲で活動を広げていければとのことでした。

久里浜商店街協同組合公式サイト


森 桃子さん(株式会社 マエカワケアサービス 言語聴覚士)

 

地域資源は誰かの元気の源です! ~地域の繋がりから考えるリハビリテーション~

4番目に登壇したのは、言語聴覚士の森さんです。約20年前に資格を取得し、しばらくは横浜で働いていた森さんですが、新しい施設のオープン時に声をかけられて横須賀の事業所へ転職。妊娠を機にやめようと思ったものの、家族を説得して移住し、現在に至ります。

言語聴覚士である森さんが担当するのは、言語のリハビリです。高校生の頃、祖父がリハビリしている様子を見てリハビリに関心を持ち、調べているうちに言語聴覚士という資格があるのを知ったんだそう。

資格取得以来、ずっと高齢者施設で働いていたそうですが、あるとき、リハビリをしている方の家族に「リハビリでは話すけど家では話してくれない」という話を聞きました。それでは意味がないのではないか、そう考えた森さんは、地域に出ることを志すようになりました。

リハビリは、決して病気や怪我だけに対するアプローチではない

リハビリとは、本来あるべき状態への回復を目指すために行うもの。単に体の機能を回復するために訓練をするのではなく、潜在的に持っている能力を最大限に発揮させて、自立を促すものです。その人らしい、生き生きとした暮らしができるようにサポートすること。本来はそれが必要なのです。

地域に出始めた森さんは、知り合いのケアマネジャーと一緒に勉強会を立ち上げ、医療や介護に関するさまざまな情報を集めるようになりました。地域の活動に巻き込む形で関わると、リハビリや生活に対する意欲が上がった例も経験しました。

そのような地域での活動を広げていくため、森さんはこの夏にデイサービスを立ち上げることを予定しています。軌道に乗れば、言語に特化したデイサービスとして、日本で3番目の施設になる予定です。言語機能のリハビリとあわせて、心の元気も支援できるような施設にしたい、地域が連携して生き生きと暮らせる社会づくりに貢献したい、と語っていました。


岡田 謙一郎さん(逗子コミュニティパーク 実行委員長)

10年以上続く「逗子コミュニティパーク」

最後に登壇したのは、10年前に逗子へ移住したという岡田さん。会社員として働くかたわらで、毎回4000名が参加するイベント「逗子コミュニティパーク」の実行委員長を務めています。

逗子コミュニティパークとは、亀ヶ岡八幡宮の境内で年2回(五月、11月)開催されている、「大人の休日」をテーマにしたイベント。2004年に第1回が開催され、次回で第27回を迎えます。2004年から続く企画。テーマが大人の休日。当初、逗子のまちづくり基本計画のレビューをする会として始まったものでしたが、「次は秋のいい季節だからお酒を飲もう」「音楽を聞こう」という流れが生まれて、現在の形に至っているそうです。

逗子コミュニティパークの運営は、補助金を利用したり、スポンサーをつけたりせず、ほぼ出店料のみで運営する独立採算制をとっています。事業として成立するということは、市場に受け入れられるということ。つまり、コンテンツが良いものだと認められているということだと、岡田さんは話します。

自分の住む場所が好きな人を増やしたい

もともと出歩く方ではなかったという岡田さん。隣人に誘われて、とあるマルシェの手伝いに出かけるようになったそう。最初は嫌々ながら出かけていたそうですが、だんだんと人付き合いが広がり、街の輪郭が見えるようになり、面白く感じるようになっていきました。

そんな中、2011年には逗子コミュニティパークの実行委員に就任。前任の代表が仕事の都合で逗子を離れてしまったことをきっかけに、実行委員長になりました。

実行委員は、岡田さんを含め、みんな「フツーの人」。ただのボランティアではなく、プロボノ(専門家によるボランティア活動、またはボランティアに参加する専門家のこと)に近い形で参加するという意識を持っています。自分のスキルを生かして参加しよう、きちんと目標設定をして活動することを軸としています。

活動をする上で大事にしているのは、来たお客さんに満足してもらうこと。何かに迷ったら、その点に立ち戻って考えるようにしているそう。クオリティが上がれば、お客さんは満足してくれる。満足してもらえれば、経済効果は上がり、運営基盤も強くなる。そのサイクルが回るようになれば、コミュニティも形成されてくる。楽しいばかりではありませんが、そうして自分たちで地域活動を育てることで、自分たち自身も成長できたと、岡田さんは話します。

目標を持って地域で何かに取り組むことを通して、自分の土地を好きになってくれる人を増やしたい。そんな想いを持った逗子コミュニティパークは、5月19日(土)、20日(日)に開催される予定です。

逗子コミュニティパーク


それぞれのコミュニティの良さを知ることができた、第8回イチロクカンファレンス。第9回は、6月18日(月)に開催予定です。

次回のテーマは、「International」。登壇者などの情報は16StartupsのFacebookページにて、情報は随時お知らせしていきます。ぜひチェックしてくださいね。

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