第28回目となるイチロクカンファレンスは、
16Startups、ヨコスカバレー、京浜急行のコラボイベント「YRPカンファレンス」として開催!
第一部では
・NTTドコモR&Dセンタ
・エア・リキード東京イノベーションキャンパス
・YRPベンチャー棟
を見学。
その後のピッチイベントでは京浜急行さん、富士通さん、ニフコさんに登壇いただきました!
<登壇者紹介>
01.『京急グループのオープンイノベーション戦略』
京浜急行電鉄 新規事業企画室 橋本雄太氏
02.『富士通の開放特許の取り組み』
富士通株式会社 田口氏
03.『”B to BからB to Cへ”—ニフコの新たな取り組み』
株式会社ニフコ 渡邉 啓氏
01.『京急グループのオープンイノベーション戦略』/京浜急行電鉄「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」担当 橋本雄太氏
京急グループといえば、電車やバスなど公共交通事業である京浜急行をはじめ、百貨店やスーパー、マンション開発などいわゆる生活サービスで事業を展開している地域密着型の大手企業。横須賀市民にとっても生活する上でなくてはならない存在であることは言うまでもありません。
今回は、そんな京急グループがオープンイノベーション戦略として取り入れ3期目を迎えたアクセラレータープログラムについて、担当の橋本さんにお話しいただきました。
近年、社会のデジタル化が急速に進み若者を中心に生活のあり方や価値観が変わってきていることから、「予測不可能な時代に突入してきている」と橋本さん。
中でも自動車業界ではカーシェアリングや自動運転の普及により「人が移動する」手段が変化してきていることに注目し、インフラサービス系の事業領域を持っている企業が新しいビジネスモデルを展開していかなければと積極的にオープンイノベーションをすすめているのだとか。
京急グループが掲げるのは、「モビリティ(人が移動すること)を軸にライフスタイルを豊かにしていこう」というビジョン。
それは、電車を動かすこと自体よりも、電車を動かすことによって生まれるライフスタイルに価値があると考え、京急グループが持つ不動産や鉄道などの既存のリソースと、デジタルテクノロジーを掛け合わせることによって新しいコンテンツをつくれるのではないかというもの。
2017年に「京急アクセラレータープログラム」を立ち上げ、これまで12社のスタートアップ企業とタッグを組み、失敗しながらも8件を実証実験へ繋げるなど、挑戦を続けています。
また、昨年7月にはオープンイノベーション拠点「AND ON SHINAGAWA」が始動。オフィススペースとして提供し、月3~4回開催されるイベントではスタートアップ同士の学びやコミュニティの場をつくっています。
デジタル化によって離れていてもコミュニケーションができたりウェブ上で買い物ができたりと「移動」せずとも暮らせる世の中になってきているのは間違いありませんが、「手段が変わっても人は必ず移動する」と橋本さん。
「人と人が会って顔を見て、雰囲気を感じて、一緒になにかをつくっていく、それは人間本来変わらないものかなと思っています」と語りました。
「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」
「AND ON SHINAGAWA」
02.『富士通の開放特許の取り組み』/富士通株式会社 田口氏
続いて登壇していただいたのは富士通株式会社・田口さん。
自社の持っている特許技術を開放して、他社の事業に役立ててもらう「開放特許」という取り組みについてお話いただきました。
「特許」といえば、高度な技術的工夫を発明した個人や法人に対し、その技術に対して一定期間の発明の独占権を与える制度のこと。(コトバンクより抜粋)
富士通株式会社では、年間3000件もの特許技術を取得しているというから驚きです。
しかし中には、製品化・ビジネス化ができていないものもたくさんあり、これを富士通の中だけで埋めておくのはもったいない!と始めたのが開放特許の取り組み。
自社製品を持ちたい、新しい技術を導入したいという地域企業に富士通のライセンスを与え、それを受けた企業は他社には真似できない特別な製品をつくることができます。
その事例はというと、
「非接触なバイタルセンシング」
無線機で電波をとばして心拍計測ができる、という自社ではビジネス化できなかった技術
▽
大阪のベンチャー企業がライセンスを受け高齢者の見守り・体調管理に使えるよう製品開発中
「印刷画像への情報コード埋め込み」
QRコードなどではなく、画像自体に情報コードを埋め込み、専用アプリで情報を読み込むことができる技術
▽
愛知県の写真台紙会社が、赤ちゃんの写真を読み込むと生まれたときの動画が見れるという命名台紙を製品化
また、チップでいろいろな身の回りのものに香りがつけられる技術を、
埼玉県のプラスチック加工会社が、「香りがつけられる単語帳で集中力アップ!」という大学生のアイデアを採用し製品化した例もあり、このように大学と連携しアイデア提供をしてもらうこともあるのだとか。
地域企業とのマッチングは、自治体や金融機関、大学などと連携しながら行われるため、地域の活性化にも役立っているようです。
そのほか、開放特許一覧をホームページで紹介しています。
ぜひチェックしてみてくださいね!
03.『”B to BからB to Cへ” —ニフコの新たな取り組み』/株式会社ニフコ 渡邉 啓氏
横須賀市光の丘に本社を構える株式会社ニフコは、プラスチックファスナーを製造・販売する会社として創業。
”(何かと何かを)とめる・つなげる”ファスニング技術を強みとし、売り上げ95%を占める自動車分野のほか、住宅設備や家電・スポーツ・アウトドアなど幅広い分野で製品を生み出しています。海外にも拠点を置き、グローバルに活躍している企業です。
今回はそんな株式会社ニフコが挑戦する、クラウドファンディングを利用した新たな取り組みについてお話いただきました。
ユーザーの声から開発され生まれた『SPLC』は、”結ばない・ほどけない・ゆるまない靴ひも”をコンセプトにした機能的な靴ひもロックシステム。靴ひもタイプであればどんなシューズでも取り付けができるという便利な製品です。
まずはたくさんの人に知ってもらいたいと、靴ひもにマッチしたトレイルランニングやトライアスロンなどのイベントに協賛し実際にSPLCを試して体感してもらう機会を設けPR。
しかしニーズはあるもののニッチな市場の中でいかにブランディングしていくか、またグローバルにどう展開していくか、というところに課題を感じ、昨年秋にクラウドファンディングに挑戦。その反響は大きく、メディアに取り上げられる機会が増え、拡販に繋がったと振り返ります。
近年、クラウドファンディングの市場規模は急激に拡大しており、5年間で10倍にもなるほど。同じシューレースの分野でアメリカのクラウドファンディングプラットフォーム「キックスターター」では58万ドル(6000万)の支援金を集めることに成功した事例もあるのだとか。ニッチな市場でも大きなマーケットに成り得る可能性が感じられます。
「B to B企業がB to C※に変革していくのは非常に難しい」と渡邉さん。
※企業間の取引を「B to B」(Business to Business)、企業と消費者間の取引を「B to C」(Business to Consumer)という。(IT用語辞典より)
しかし、
・高単価高利益商材を生み出すことができる
・新しい技術を開拓できる
・グローバルな展開を望める
など、大きなメリットもあると語ります。
「Change & New Challange」をスローガンとして掲げ、過去の成功体験からの脱却、そして挑戦を続けていく株式会社ニフコ。これからも世界での活躍に期待が高まります!
以上、今回は大手企業3社の濃密なスピーチを聞くことができました!
登壇してくださった方々、お忙しい中貴重な時間をありがとうございました!