12月16日に開催した第27回イチロクカンファレンス。
「先輩スタートアップから学ぶ急成長の秘訣」ということで今回は『株式会社ファミワン』代表取締役CEO 石川勇介さんにお越しいただきました!
タイトルは、「妊活・不妊を社会全体でサポート!多数のピボットを繰り返しながら見えてきたサービスのあり方」。
自身も不妊に悩み、その中で感じた社会課題を解決したいと2015年に株式会社ファミワンを創業した石川さん。さまざまなサービスをリリースし試行錯誤を繰り返しながら現在の形へたどり着いた、その苦労と成功のエピソードを語ってくれました!
「妊活=〇〇〇〇ための活動?」
一般的に「妊活」といえば「妊娠するための活動」ですが、そのイメージはというと少し前までは「不妊治療」「女性がするもの」「つらい」というイメージが大きかったように思います。そしてほとんどの人が、まさか自分が不妊で悩むとは思わず、一部の人がするものと思いがちですよね。
石川さんが伝えたい「妊活」は、必ずしも妊娠するためのものではなく、「妊娠と向き合うための活動」としています。
これは妊活が特別なことではなく、結婚して子どもを授かりたいと思うすべての夫婦が通るものであり、今現在親であるすべての人たちも通ってきているものだと認識しているからこそ。
そもそも不妊で悩む夫婦はどれくらいいるのか?
実は、夫婦の3組に1組は不妊かもしれないと悩み、また6組に1組は実際に検査や治療を行っているというデータがあるのだそう。
不妊治療には大きく分けて3つステップがあり、
Ⅰ. 排卵日に合わせて性交渉をする 『タイミング法』
Ⅱ. 採取した精子を子宮に注入する『人工授精』
Ⅲ. 採取した精子と卵子をかけ合わせ、受精卵を子宮に戻す『体外受精』
ですが、ステップが上がるにつれ費用も上がり、また続けていくうちに夫婦も年齢が上がっていくため生殖機能が低下したり、流産の確率が上がるなどリスクが高くなってしまいます。
ただでさえ初婚の平均年齢が上がっている近年、「できるだけ早く妊娠と向き合ってもらいたい」と石川さん。
石川さん自身が妊活をする中で感じた課題とは
石川さんが語る「妊活」の課題。
その多くは私たちを取り巻く社会環境にありました。
①メディアに情報があふれていて、どれが正しい情報なのか判断ができない
妊活を続ける期間が長くなると、精神的に落ち込み強い言葉や宗教的なものに惹かれやすくなったり、高いサプリメントや縁起物を買ってしまう…といったことも起こりやすくなるようです。
②周りに相談しにくい・夫婦間で話し合えない
身近に相談できる人がいなかったり、一番大事である夫婦での話し合いができないといった悩みを抱えている人がとても多いそうです。
③職場環境で妊娠したくてもできない・・・
保育や介護・医療現場など職場によっては、人手不足などの問題で妊娠したくてもできない環境も。まさに日本の社会問題といえますね。
こういった課題をどうにか解決できないか、という強い思いが『株式会社ファミワン』を立ち上げるきっかけとなりました。
ニーズに対してどう応える?苦労したのは・・・
起業するとなれば、ベンチャーでも大企業でも、どれだけニーズに応えられるかがサービスのカギになるわけですが、ユーザーの「妊娠させてほしい」という一番のニーズに対してサービスを提供するのは難しかった、と石川さん。
石川さんが目指すのは、「妊娠してもしなくても、それをサポートしていける社会をつくる」こと。
「妊娠させる」ではなく、いかに「妊娠と向き合って」もらうかを目的とすることをユーザーに伝えていくことに苦労したのだそう。
さまざまなサービスを提供してみるけれど
ファミワンが最初に提供したサービスは、夫婦で登録し月額2万円を10ヶ月続け、妊娠できなければ全額返金するという驚きのもの。メディアでは「妊活のライザップ」と取り上げられ話題になりました。
しかし「夫婦で妊娠と向き合い、返金した資金は次に進むためのきっかけにしてほしい」という思いで始めたものの、
妊娠させる自信があるものだと捉えられてしまい、妊娠を望む切実な声が多かったため提供したかったものとの相違を感じサービスを閉じる決断へ。
その後も、夫婦間のコミュニケーションを円滑にするためのサービスや、同じ悩みを抱えるユーザー同士が交流できるコミュニティサービスなど、試行錯誤を繰り返してきました。
苦労を経て完成した『妊活コンシェルジュ』
そうして誕生したのが、『妊活コンシェルジュサービスfamione』。
始め方は簡単で、性別を選択して簡単なチェックリストに答えると、LINEで診断結果が届くというもの。
その後はLINEで無料アドバイスがもらえたり、病院選びの相談ができたり、有料のプレミアム会員になると自由相談や電話相談もできるとのこと。
何より時代に合わせたサービスで、気軽に始めやすく、「悩む前から継続的に使ってもらえるようなサービスになれば」と石川さん。
現在ユーザーは1万人を超え、「妊娠させる」ではなく「妊娠と向き合う」サービスであることがようやく伝わり始め「サービスの届けたい価値がきちんと届くようになった」と喜びを語りました。
企業向け妊活セミナーも開催
仕事と妊活の両立ができず悩む声が多かったことを受け、妊活への理解を会社全体で深めるための妊活セミナーを開催しています。
というのも、休暇をとれる会社の制度があっても、周りに知られるんじゃないかという不安だったり、大変さを知らない人からの理解が得られず休暇をとることに抵抗を感じる人がほとんどだという現実があるから。
「当事者だけではなく、取り巻く周囲の人間にも広げていけたら」と石川さんは語ります。
ユーザーからの利用料だけでなく、クリニックなど医療機関との提携、企業の福利厚生利用、セミナー開催など、いくつも収入源を確立し急成長を続けている株式会社ファミワン。
今回もたくさん学ばせていただきました!
石川さん、ありがとうございました!
最後に恒例のイチロクポーズ!
次回もどうぞお楽しみに!
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