毎月16日(イチロクの日)、「まちにイノベーションを起こす!」ことをテーマに開催している、イチロクカンファレンス。
1月16日(水)に開催された第16回は、様々なジャンルから集まった熱いものをもつ方たちによるプレゼンが繰り広げられました。
<登壇者一覧(登壇順)>
後藤 由貴 さん(大津学園大津保育園施設長)
「今、企業に求められる保育園」
相原 宏介 さん(株式会社西松)
「老舗問屋の使命と進化」
立教大学 法学部 藥師丸ゼミさん
「立教生から見た横須賀」
越中 正人 さん(studioKoshinakaMasahito)
「今だからこそ、写真撮影を通じた関わり」
田沼 千春 さん(横須賀刺繍職人)
「横須賀伝統工芸について」
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後藤 由貴 さん(大津学園大津保育園施設長)
「今、企業に求められる保育園」
記念すべき第16回目のトップバッターを飾ったのは、大津学園大津保育園施設長の、後藤由貴さんです。
昨年7月にオープンした企業主導型保育施設の施設長をされています。
以前は結婚や出産を機に仕事を辞める選択の方が多かったのですが、今は育児休暇をとり職場復帰をするために、保育園に入れる方が増えています。
しかし、保育園に入れたくても入れない、待機児童が児童が横須賀市内にも40名ほどいます。
企業主導型保育園は、認可外保育園というくくりですが、保育の質はとても高く、保護者からも満足していただいているそう。
大津保育園の児童は、職員はもちろんのこと、提携企業や地域のお子さんを預かることができます。
働きやすい環境づくりを目指して、ライフステージに関わらず、女性の人材育成の継続ができるお手伝いができるので、
企業側のメリットもとても多いのだとか。
ぜひ提携したい企業の方は、後藤さんまでご連絡をお願いします。
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相原 宏介 さん(株式会社西松)
「老舗問屋の使命と進化」
2番目の登壇者は、まぐろの老舗問屋「株式会社西松」相原宏介さんは、「老舗問屋の使命と進化」というテーマです。
三崎港開港の明治27年に魚問屋として創業した、三崎で最古のマグロ問屋です。
問屋であるため、お客様との接点は普段はあまりありませんが、工場や環境に配慮した冷蔵庫を持っています。
また、今年で125年目をむかえる西松は、ブランドマークを掲げ、海鮮問屋という役割を担っています。
マグロ船の用意をしたり、漁具の仕込みをしたり、船との連携を組んでいるそうです。
水産加工にも手をかけ、西松のミサキマグロという国内の登録商品や、中国商標も登録済み。
神奈川産業navi大賞などの受賞や、マグロコンシェルジュの採用で、三崎マグロブランド化に力を注いでいます。
生ものが苦手な外国人の方にも、フレッシュマグロハムなどもお客様に使ってもらうためのマグロを扱っています。
問題としては、ディスカウント価格競争の激化が起こったり、マグロ漁船の激減や、スーパーでの魚離れも深刻化していますが、
そこはブランド化を図り、適正コストをあげ、安定品質、顧客満足、知名度を最優先にし、取り組み先のお客様まで顔の見える
アプローチを心がけています。
今後はさらに、進化し、海外のニーズをふやしていきたいとのことでした。
三崎マグロ切符などでも集客できている横須賀の三崎マグロ。ブランド化にさらに磨きをかけていただきたいですね。
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立教大学 法学部 藥師丸ゼミのみなさん
「立教生から見た横須賀」
3番目に登壇した立教大学 薬師丸ゼミでは、まちづくりを題材に課題解決をめざす活動をしています。
今回は横須賀に着目して、まちづくりから見た問題解決に向けてリサーチしてくれました。
自分たちで課題となる題材を探し、立場によって考え方がちがうことを調査し、8つの班に分かれました。
住民班は一次産業を通して、横須賀の生産者に話を聞いたり、地域ブランド研究会に参加したり、
地域で働く方たちとの信頼関係を築く事に重点をおきながら、交流の場を設けたそうです。
現在は、上町商店街の「上町小盛会」と青年会の会合に出席させていただき、販路拡大を実現させるための調整中だそう。
これをモデルケースとし、うまくいけばどぶ板商店街など他の商店街からも協力いただけるとのことでした。
民間企業班は、観光情報提供がニーズに則していないとの調査結果にいたりました。
産業観光である軍港巡りをおこなっている「トライアングル」にて調査をおこなったところ、「駐車場の場所が分からない」「おすすめの飲食店がわからない」との話をきいて、観光情報提供に着目しました。
詳細な計画を立てずに来る、近隣からの日帰り観光客をターゲットとした「横須賀到着後の観光情報提供」を提案し、観光情報提供を改善することによって、観光客に滞在平均時間を延ばしたり、観光客の満足度を上げることを目的としているそうです。
このような結果をみながら提案をまとめ、ここ16Startupsにて2月に研究発表を行う予定だそうです。
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越中 正人 さん(studioKoshinakaMasahito)
「今だからこそ、写真撮影を通じた関わり」
次に登壇したのは、写真スタジオを営む越中さん。
業務内容は、写真撮影と映像製作、美術品の製作販売、出張遺影写真など。
また、Yahoo!Japanのおもてなしギフト特産物の三浦半島の担当や、高島屋オリジナルのキモノ開発の撮影編集をやっています。
芸術家としても活躍していて、近年販売もできるようになってきているそう。
本日は生前遺影出張遺影撮影のことをお話に来られました。
遺影撮影は、クライアントの希望内容を聞き、自身の経験から映像化させるノウハウを盛り込んで提案しています。
クライアントには遺影を介した提案と関係づくりを提供したいと考えていますので、今後の展開として遺影を借りて写真展の開催や、弁護士・葬儀会館などとの連携で終活セミナーをおこないたいと考えています。
終活セミナーを開催したい方を募集中です。
生前遺影の撮影・制作スタジオ YEAH PHOTO STUDIO
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田沼 千春 さん(横須賀刺繍職人)
「横須賀伝統工芸について」
横須賀の代表的なスカジャンの刺繍を作る、三代目の刺繍職人の田沼さん。「ダルフィガロ」というブランドを立ち上げ、「ハル」という名前で活動しているそう。
彼女のルーツは、ひいおじいちゃんが群馬で竹細工工芸やミシン問屋、帯の刺繍を営んでいたのが、
横ぶり刺繍というハンズフリーミシンの技術をもって横須賀移り住み、米軍ワッペンの刺繍をはじめたところからきています。
また、ひいおじいちゃんの当時の仲間と、米軍のお土産向けに日本風の刺繍をジャンパーに縫ったものが、のちのスカジャンになったとされています。
田沼さん自身は、アパレル業など経験して、幼少期から見ていた横ぶり刺繍の素晴らしさを再確認したそう。
父に弟子入りを決めて、3年の月日が経ったころ、お父さまが急に他界しました。
もっと聞きたい事もたくさんあったが、ノーヒントで後を継ぐことになってしまいます。
現在、田沼さんを含め、横須賀の80代男性二人以外には、新しい職人はいません。
今日皆さんにお願いしたいのは、縫製員になりたい方を紹介してほしいとのこと。
また、縫っているところを実際に見てもらいたいと、イベント中に一つの作品を縫いあげる「ライブ刺繍イベント」をおこなっていますが、残念なことに横須賀での実現はかなっていないそう。
最近は取材をしていただくことが多いが、伝統工芸として残していかないといけないことと、新しく挑戦したいことの両立を頑張りたいとのことです。
横ぶり刺繍は手づくりなのでたくさんは作れないのですが、今後の活動として海外の日本の工芸に興味のある方たちを対象に、披露する場に挑戦しようとおもっています。
また、企業提案からのコラボ商品にも着手していきたいと思います。
コンピュータミシンと横ぶりミシンの違いは、量産はできませんが、ひとつひとつ生き物を刺繍するときの躍動感をだすのに適しているのが特徴的です。
その他、楽しそうな企画などありましたら、ご提案をよろしくお願いします。
それぞれのコミュニティの良さを知ることができた、第16回イチロクカンファレンス。横須賀の魅力をぐっと引き出してくれるような、充実した内容になっていました。次回の16カンファレンスは、2月15日(金)です。